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耳鼻咽喉科(聴覚・人工内耳センター)

先天性外耳道閉鎖症に対する人工中耳VSB (Vibrant Soundbridge®)治療について

先天性外耳道閉鎖症は小耳症に伴い、10000人に1人の割合で生まれます。ほとんどが一側ですが、1?2割の方が両側です。両側の場合、乳児期からの補聴が必要です。

先天性外耳道閉鎖症では骨導補聴器を使用します。手術方法として外耳道形成術・鼓室形成術による聴力改善手術が行われてきましたが、外耳道の再狭窄により難聴改善成績は必ずしもよくありませんでした。その他の治療として植込み型骨導補聴器(BAHA)(図1)があります。耳後部にチタンインプラントを植込むことにより、骨導により音を伝達します。これらの方法はいずれも満足な結果が得られない場合があります。骨導補聴器は骨導端子圧迫による疼痛のため、長時間の装用が困難であったり、圧迫による皮膚炎といった問題があります。BAHAはチタンインプラントが皮膚から突出しているため、見た目や皮膚感染の問題があります。

その中で2016年健康保険での治療が可能となった人工中耳VSB (Vibrant Soundbridge®)は従来の先天性外耳道閉鎖症治療の問題点を改善することができます。その特徴としては、装用によるハウリングや疼痛がなく長時間の装用が可能であり、内耳を直接刺激するため高音域の音を大きく伝達することが可能となり音質がよいと言われています。当院での成人人工中耳VSB装用者の方も音質が良いと評価されています。当院ではすでに多くの方に人工中耳VSB(図2)手術を実施しています。すでに小児患者さまの手術も施行しており経過良好です。人工中耳VSB手術を施行している施設は限られております。詳細な情報をお聞きになりたい方は是非一度受診される事をお勧めします。

人工内耳手術

図1 BAHA

人工内耳手術

図2 人工中耳(VSB)