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肉腫専門ゲノム外来

担当医師

肉腫専門医師
高橋 克仁(肉腫センター長/病院教授、専門分野:肉腫内科、ゲノム医療)
がん薬物療法専門医師
樋口 肇(消化器化学療法部長/医学部臨床腫瘍学主任教授、専門分野:化学療法)
病理学専門医師
森 一郎(病理部/医学部教授、専門分野:病理診断)
臨床遺伝学専門医師
後藤 順(神経内科部長/医学部教授、専門分野:臨床遺伝学)
認定遺伝カウンセラー
四元 淳子(お茶ノ水女子大学大学院、専門分野:遺伝カウンセリングコース)[客員スタッフ]

開設の経緯

希少がんである肉腫は患者数が少なく専門医師や研究者も少ないため、ゲノム情報解析が遅れています。小児では横紋筋肉種とEwing肉腫、骨肉腫、成人では軟骨肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫と癌肉腫のゲノム情報解析が発表されています。これらに加えて当院肉腫センターでは、成人の平滑筋肉腫、脂肪肉腫、血管肉腫、線維肉腫、若年成人の線維形成性小円形細胞腫瘍(DSRCT)、悪性末梢神経鞘腫(MPNST)の15名の患者様についておよそ23000遺伝子の全エクソーム解析が終了しました。現在29名の患者様の全エクソーム解析が進んでおり、さらに165名の肉腫患者様が参加登録し解析を待っています。

これまでの解析結果から肉腫で重要な遺伝子変異の部位は、上皮細胞から発生するがん(肺がん、乳がん、大腸がん、胃がん、肝臓がんなどの5大がんとその他のがん)で重要とされる遺伝子変異の部位と大部分異なっていることが明らかになりつつあります。

これは、がんで見つかった遺伝子変異を基に構成された50~350個の遺伝子パネルによるゲノム情報解析のみでは、肉腫の予後予測や治療法の選択に必要なゲノム情報が十分に得られない可能性を示しています。

当院の肉腫専門ゲノム外来では、肉腫センターにある肉腫患者様の23000遺伝子の全エクソーム解析から得られたゲノム情報のデータベースと薬剤の奏功性や予後など豊富な臨床情報のデータベースに基づいて、①肉腫ゲノム解析の最新知見や、②肉腫に特化したより専門的なゲノム解析情報を提供します。

肉腫のゲノム情報解析で何がわかるのか
  1. 血液・正常細胞(胚細胞変異解析)のゲノム情報と肉腫細胞(体細胞変異解析)のゲノム情報を、およそ23000個の遺伝子一つ一つについて比較することによって、肉腫がどの遺伝子のどのような変化によって起こっているのかをお一人おひとりの患者様について明らかにしていきます。この解析により、患者様ごとの肉腫発生の要因や分子機構の解明が期待されます。また、新たな治療標的の発見にもつながる可能性があります。さらに、キートルーダー等の免疫チェックポイント阻害剤の有効性の指標と考えられているゲノムのマイクロサテライト不安定性(MSI,MSS)の評価が可能です。
  2. お一人おひとりの患者様の肉腫細胞で起こっている遺伝子の変化を比較し、当センターにある多数例の肉腫臨床情報のデータベースと医学文献を参照することによって、お一人おひとりの患者様について、予後予測や薬物・放射線・外科治療など最適な治療法の選択を目指します。
  3. 血液・正常細胞(胚細胞変異解析)のゲノム情報からは、特定のがん(遺伝性の乳がん・大腸がん・卵巣がんなど)に罹患するリスクがわかります。 また、肉腫患者様の血液・正常細胞(胚細胞変異解析)のゲノム情報を健常者のゲノム情報のデータベースと比較することによって、肉腫の罹患リスクに関わる遺伝子が見つかる可能性があります。
図
対象となる肉腫または類縁の悪性腫瘍

頭頚部・胸壁・乳房・胸部腹部内臓・後腹膜・骨盤部の軟部肉腫(平滑筋肉腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、血管肉腫、内膜間質肉腫、STUMP、線維肉腫、未分化多形性肉腫、滑膜肉腫、線維形成性小円形細胞腫瘍(DSRCT)、悪性末梢神経鞘腫(MPNST)、胞巣状軟部肉腫、明細胞肉腫)、四肢軟部肉腫や軟骨肉腫、骨肉腫、Ewing肉腫、癌肉腫、GIST、悪性葉状腫瘍、悪性中皮腫の転移再発腫瘍

対象となる患者様またはご家族
  1. 手術予定の患者様等、新たに肉種ゲノム情報解析を希望される方。
    新たな肉腫ゲノム情報解析には別途費用が必要です。
    当センターの肉腫ゲノム情報解析では、①およそ23000遺伝子の全エクソームゲノム情報解析、②免疫チェックポイント阻害剤(キートルーダー等)の有効性の指標と考えられているミスマッチ修復遺伝子の変異情報およびゲノムのマイクロサテライト不安定性(MSI,MSS)を同時に解析します。
  2. 当センターでのゲノム情報解析が終了し、今後の肉腫診療への応用について情報提供を希望される方。
  3. 他施設で解析されたゲノム情報をお持ちの肉腫患者様またはそのご家族のご相談にも応じます。
  4. その他ゲノム解析について詳しい説明を希望される方。
受診のための手続きと費用
  1. 完全予約制となります。肉腫センターまでお申し込みください。
  2. 料金:32,400円(消費税込)
    遺伝カウンセリングを行う場合は別途16,200円(消費税込)が加算されます。
  3. 定員は1日4名です。
  4. 他施設で解析されたゲノム情報をお持ちの肉腫患者様、またはそのご家族のご相談の場合は、主治医の診療情報提供書が必要です。
外来医師担当表
曜日
午前 高橋 克仁
※肉腫専門ゲノム外来
高橋 克仁・樋口 肇
※肉腫専門ゲノム外来
午後 高橋 克仁
※肉腫専門ゲノム外来
高橋 克仁
※肉腫専門ゲノム外来

【特記事項】

※ 完全予約制となります。ゲノム情報解析で、米国臨床遺伝学会(ACMG)が被験者に開示を勧告する59遺伝子のゲノム偶発所見註1)を認めた場合、事前に開示を希望した患者様に遺伝カウンセリングを行います(四元担当)。

症例

当センターでの23000遺伝子の全エクソームゲノム解析情報註2)に基づき、選択した治療法が著効を示した2症例を提示します。

<症例1> 37歳女性 平滑筋肉腫の多発肺転移
DNA修復関連遺伝子の機能喪失変異の組み合わせ註3)から、抗がん剤未治療の患者様に最適な抗がん剤を選択しました(2017年3月)。1コース終了後に大部分の転移腫瘍が縮小しました。最大径の腫瘍は腫瘍径にして62.5%縮小しました(Partial Response)。治療は患者様のご自宅に近い病院に依頼し行われました。

<症例2> 74歳女性 平滑筋肉腫の縦隔リンパ節転移
核内転写因子機能喪失変異註3)から患者様の放射線治療高感受性が予測されたため、薬物治療や外科的治療ではなく放射線治療が選択されました(2017年7月)。通常、平滑筋肉腫は放射線治療に抵抗性ですが、この患者様は放射線治療(45Gy/15Fr) 終了後2日目に腫瘍径が62%縮小しました(Partial Response)。治療は患者様のご自宅に近い病院に依頼し行われました。

図

註1)遺伝性疾患を発症するリスクがある59遺伝子の変異リスト
URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/clinvar/docs/acmg/

註2)

図

註3)これらの症例で治療法の選択と効果の発現に重要と考えられた遺伝子変異やその組み合わせは現在国内で使用されているどの「遺伝子パネル」にも搭載されていないか、評価が困難な遺伝子変異でした。

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