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2019.04.17

免疫チェックポイント阻害剤による国内1例目の肉腫治療が始まりました

4月13日(土)国際医療福祉大学三田病院肉腫センター(高橋克仁センター長)は、ゲノム情報による新適応基準に則り、免疫の働きを利用するがん治療薬である免疫チェックポイント阻害剤「ペンブロリズマブ(販売名;キイトルーダ)」を用いて国内ではじめて希少がんである肉腫の治療を実施しました。

日経新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43828530X10C19A4000000/
東京新聞 https://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2019041601002365.html
共同通信 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190416-00000143-kyodonews-soci
他多くのメディアでも配信されています。

患者様は宮崎県在住の63歳の女性。肝臓に発生した肉腫が肺や骨に転移し、標準的な化学療法は効果がなく、これまで7回の手術を経験しました。治療チームはこの患者様の肉腫ゲノムが高頻度マイクロサテライト不安定性を示すこと、さらに詳しいゲノム解析により、ミスマッチ修復遺伝子に他のがんではみられない異常が存在することを突き止めました。これは患者様の正常細胞には認められず、肉腫細胞にだけ発生した遺伝子変異であることも分かりました。

細胞分裂のDNA複製時に塩基の不対合(ミスマッチ)があるとミスマッチ修復遺伝子が働いてこれを修復します。数塩基のDNA配列が反復するマイクロサテライト領域では、ミスマッチ修復遺伝子の異常により反復回数にばらつきが生じます。これをマイクロサテライト不安定性と呼び、高頻度に不安定性をもつがん細胞ではより多くの腫瘍特異抗原があり、T細胞に認識されやすいと考えられています。

投薬は3週ごとに繰り返されます。有効な治療薬のない肉腫患者様の新たな治療選択肢になるか注目されます(下図)。

ゲノム情報にもとづく肉腫の薬物治療

免疫チェックポイント阻害剤
オプジーボやキイトルーダはヒト化モノクローナル抗体で、不活性化T細胞上のPD-1に結合することにより、がん細胞を攻撃するT細胞を再活性化すると考えられています。

キイトルーダの新適応基準
厚生労働省は2018年12月21日に、キイトルーダの適応を従来の悪性黒色腫、非小細胞性肺がん、ホジキンリンパ腫、尿路上皮癌に加えて、「がん化学療法後に増悪した進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する固形がん」に拡大することを承認しました。キイトルーダは日米でゲノム情報をもとにがん種や臓器横断的に承認された4月17日現在最初で唯一の抗がん剤です。

肉腫センター
高橋克仁センター長

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