ロボット手術センターでは、
患者様の負担を軽減する、
安全で精度の高い医療の提供を
めざしています
お知らせ
- 2024.05.18
動画「婦人科編 身体にやさしいhinotori™ ロボット支援手術について」公開のお知らせ - 2023.12.07
動画「よくわかる!前立腺がんの発見から治療まで」公開のお知らせ - 2023.09.26
手術支援ロボット「hinotori™(ヒノトリ)」の稼働を開始しました - 2023.08.18
国産初の手術支援ロボット「hinotori™(ヒノトリ)」を導入しました
ロボット手術センターについて
副院長
女性腫瘍センター・婦人科部長
ロボット手術センター長
上田 和
当院では、国産初の手術支援ロボット『hinotori™ サージカルロボットシステム』を導入しました。
ロボット支援手術では、執刀医と腹腔鏡の間にロボットを介在することで、奥行き感のある3D映像や拡大映像による良好な視野と、手ぶれ防止機能や多関節構造によるロボットアーム操作により、精細な手術が可能となります。従来の腹腔鏡手術に比べ、術中出血や術後の痛みの軽減をもたらすことができる患者様にとってより負担の少ない手術です。
当院では、hinotori™の手術適応がある泌尿器科、婦人科、消化器外科でロボット支援手術を開始します。当該科に加え、麻酔科、看護師、臨床工学技士等の手術スタッフおよび事務スタッフが連携し、安全管理や効率的な手術運用、情報を共有するためにロボット手術センターを開設しました。
今後、ロボット手術センターとして診療科や部門を越えた横断的なチームとして緊密な連携を図り、hinotori™のメリットを最大限に活用し、患者様にとって安全で侵襲が少なく、精度の高い手術を提供できるようスタッフ一同、誠心誠意尽力いたします。
ロボット支援手術の特長
鮮明な3D映像
鮮明なフルハイビジョン画質と奥行き感のある3D映像による正確な空間把握と拡大視野により、精緻かつスピーディーな手術が可能です。
安全で高精度のアーム操作
手ぶれ防止機能や多関節構造により精度の高いロボットアーム操作が可能となり、開腹手術と同じように縫合や切開することができます。
創部の疼痛軽減
腹部に挿入したトロカーを支点としてアームが動くように制御されているため、腹腔鏡手術よりも術後の創部痛が軽減されます。
患者様のメリット
精度の高い手術により、周囲の健康な組織や臓器への侵襲を最小限にし、合併症リスクの軽減および機能温存が促進されます
傷が小さく痛みが軽減されることにより、術後の回復期間が短縮され、より早く日常生活に復帰できる可能性が高まります
対象疾患
2023年9月より泌尿器科(前立腺がん、腎がんなど)、10月に婦人科(子宮体がん、子宮良性腫瘍、骨盤臓器脱)の手術を開始しました。
2024年10月、消化器外科(膵臓がん)にてhinotori™による手術を開始しました。
泌尿器科
泌尿器科は、最も早くロボット支援手術が臨床的に行われるようになった科です。主にロボット手術が行われているのは、前立腺がんに対する前立腺全摘術と小径腎がんに対する腎部分切除術です。拡大視野と複雑な鉗子操作によって精密な手術や縫合が可能なため、出血量の減少や臓器の機能温存・早期回復が可能となり、術後合併症の発生率を軽減させます。今後は、大きな腎臓がんに対する腎摘除術や腎盂尿管移行部狭窄症に対する腎盂形成術などにもロボット手術の導入を行って行く予定です。
前立腺がん
ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術は、開腹手術に比べてやや時間がかかりますが(通常4.5時間)、多くの利点があります。手術の出血が少なく、通常無輸血で済むため安全性が高まります。手術後の痛みが少なく、回復が早いため、患者様の負担が軽減され、入院期間も短くなります。手術部位を高精度で拡大された視野で正確に操作できるため、手術の精度と安全性が向上します。経験豊富な泌尿器腹腔鏡技術認定を持つ医師が手術を行うことで、高度な技術を必要とする手術法を実施しています。当院では腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術について施設基準の届出を行っています。
従来の開腹手術における切開部
ロボット手術における切開部
腎がん
腎部分切除術は、腎臓を周囲の組織から取り外し、超音波などでがんの位置を特定し、一時的に腎動脈の血流を遮断します。がんに隣接する正常な腎臓組織を取り囲んで切り取り、切り取った部位の出血が止まっていることを確認し、組織を縫合します。その後、腎動脈の鉗子を外して血流を復旧させます。止血が確認された後、最初に開けた穴から切り取った組織を取り出します。ロボット支援下腎部分切除術は従来の腹腔鏡手術に比べ、精密で正確な手術をより素早く行うことが可能です。そのため血流遮断時間が短くなり、腎機能の温存に優れています。
従来の開腹手術における切開部
ロボット手術における切開部
担当医
大東 貴志
泌尿器科部長
国際医療福祉大学 医学部教授
専門分野
泌尿器科(前立腺疾患、泌尿器がん、腹腔鏡下手術)
香野 日高
ロボット手術センター 副センター長
国際医療福祉大学 医学部講師
専門分野
泌尿器科(泌尿器科一般、泌尿器悪性腫瘍、腹腔鏡手術、腎不全、透析 腎移植)
女性腫瘍センター・婦人科
婦人科では、早期子宮体がん、子宮筋腫などの良性腫瘍、子宮脱などの骨盤臓器脱に対してhinotori™を用いたロボット支援手術が選択可能です。ロボット支援手術は、3D映像や手振れ防止機能を備えているため精緻な手術操作が可能で、出血量や合併症のリスクを減らすことができます。さらに、従来の腹腔鏡手術よりも痛みが少なく、患者様の負担を減らし早期回復が期待できる手術です。
当科では腹腔鏡技術認定医と婦人科腫瘍専門医が手術を担当し、安全かつ高い水準の医療をご提供します。
子宮体がん
初期の子宮体がんに対する手術では腹腔鏡手術の安全性が示されており、当院でも腹腔鏡による子宮体がんの治療を行っています。ロボット支援手術は、基本的には従来の腹腔鏡手術と同様の手術手技ですが、手術支援ロボットを用いることで、より安全かつ正確に手術を行うことが可能となります。これまでの研究で子宮体がんに対するロボット支援手術は、腹腔鏡手術と比べて出血量や合併症が少ないことが報告されています。当院では婦人科腫瘍専門医と腹腔鏡技術認定医による質の高い医療をご提供します。
子宮体がん
開腹手術の切開創
ロボット支援手術の切開創
子宮良性腫瘍
子宮筋腫や子宮腺筋症などの子宮良性腫瘍や、子宮頸部高度異形成や子宮内膜異型増殖症に対する手術はすでに腹腔鏡手術で行うことが主流となっています。これらの疾患に対する子宮全摘出術の際もロボット支援手術が選択可能です。鮮明な3D映像により空間認識力が向上すること、高い自由度をもった多関節のロボットアームによる繊細な操作や手ぶれ防止機能により、従来の腹腔鏡手術に比べて出血量や術後疼痛が軽減することで、日常生活に復帰するまでの期間の短縮が期待できます。当院では、腹腔鏡下腟式子宮全摘術について施設基準の届出を行っています。
開腹手術(横切開)の切開創
開腹手術(縦切開)の切開創
ロボット支援手術の切開創
骨盤臓器脱
(子宮脱や膀胱瘤など)
子宮脱や膀胱瘤などの骨盤臓器脱に対して、当院では腹腔鏡下仙骨腟固定術を施行しています。この手術では子宮や膀胱、直腸などの下垂に対する治療として、メッシュを用いて腟を挙上し仙骨に固定します。この術式に手術支援ロボットを用いることで、メッシュ固定の際の縫合操作をスムーズに行うことが可能となり、出血量や術中合併症が少ないことに加え、手術時間を短縮することが期待できます。
骨盤臓器脱
メッシュによる仙骨腟固定術
ロボット支援手術の切開創
担当医
婦人科
上田 和
副院長
国際医療福祉大学三田病院・山王病院 婦人科統括部長
婦人科部長、ロボット手術センター長
国際医療福祉大学 医学部教授
専門分野
婦人科(腫瘍全般、腹腔鏡手術)、女性医学(更年期、思春期、ウロギネコロジー)
婦人科
永吉 陽子
婦人科副部長
国際医療福祉大学 医学部講師
専門分野
婦人科(腫瘍全般、腹腔鏡下手術)、女性医学(更年期、思春期、女性アスリート)
消化器センター
膵臓がん
膵臓手術は解剖学的複雑さから術後合併症が多く、他臓器と比較して低侵襲化が遅れていました。しかし、膵臓領域でも低侵襲手術の安全性と有効性が評価されるようになり、ようやく膵臓の低侵襲手術が保険適応となりました。膵臓は、お腹の奥深くにある臓器であるため、開腹手術だと傷を大きくする必要が生じます。腹腔鏡下手術は小さな切開で良好な視野が得られますが、鉗子という腹腔鏡手術専用の道具は直線的な操作しかできないので、どうしても動作制限がありました。その点、ロボット手術は腹腔鏡下手術の欠点となる動作制限がなく、より安全に手術を行うことができるという特徴があります。特に、膵体尾部切除で切除できる膵臓がんのロボット手術は術後合併症も軽減できる手技です。当院では膵体尾部腫瘍手術について施設基準の届出を行っています。
肝臓がん
当センターは、肝切除術を腹腔鏡下で行ってきました。開腹で肝切除を行うと、創が非常に大きくなり、術後創痛のために回復に時間がかかり入院期間が長くなることが世界中の施設から報告されています。肝切除術は消化器外科の手術のなかでも非常に高度な技術を要する手術であり、腹腔鏡下に行うことでのデメリットもかつては話題とされました。現在は、どの施設も学会が認定した専門医が安全に手術を行っていますが、当院も日本肝胆膵外科学会が認定した高度技能専門医、日本内視鏡外科学会が認定した内視鏡外科専門医の両資格を併せ持つ専門医が手術を担当しています。ロボット手術は、腹腔鏡下手術手術のメリットをそのままに、手術鉗子に関節が加わることで肝臓手術の脈管確保(血管を傷つけないように確保)や縫合処置を容易にしています。最新の機器を用いて専門医による肝切除が安全に実施できるよう体制を整えています。詳細は消化器センターにお問い合わせください。
食道がん
食道がんに対する食道亜全摘術は消化器外科領域では最も大きな手術の一つです。術後に反回神経麻痺という合併症が起きることが多く、これを減らすことが、手術の安全性や術後の生活の質の向上おいてに重要です。
反回神経は声帯の開閉を行っている神経で、麻痺が起きると声がかすれたり(嗄声)息苦しさがでたりします。過去に行われた研究では、ロボット手術により反回神経麻痺の発生率が減少したと報告されています。
ロボットの特長である多関節アームなどの機能は、食道がん手術において多くのメリットがあります。当院では、経験豊富な専門医が安全なロボット手術を実施できるよう体制を整えています。
胃がん
胃がん手術において、リンパ節の切除は治療実績の向上に重要な役割を果たしています。通常の腹腔鏡手術は、使用する手術器具がまっすぐで先端に関節がないため、動きが制限されてしまいます。このため、重要な残すべき血管や膵臓の周囲に存在するリンパ節をきれいに切除することは、熟練を要する高度な手術手技となります。血管を傷つけることによる不必要な出血や膵臓を傷つけることによって生じる消化液(膵液)の漏れによる合併症は、胃がんの手術における大きな問題となります。一方、ロボット手術では、より精度の高いリンパ節切除と合併症の軽減が可能になります。現在は合併症を減らすことが示されていますが、今後はがん治癒率の向上に貢献する結果が出るものと考えています。
結腸がん
大腸がんは日本で男女ともがん罹患率第2位となっている重要な疾患です。腹腔鏡下手術は全国で広く行われており、当院でも大腸がんのほとんどの症例を腹腔鏡下に行っています。ロボット支援下手術は、鉗子の関節による高い自由度、3D高精細画像、手振れ防止機能などにより、より精密な操作が可能となるなど、従来の腹腔鏡手術よりも多くの利点を有しており、出血量の低下や合併症率の低減、疼痛の軽減といったメリットが報告されています。
手術時間は長めとされていますが、術後の回復は早いといわれています。2022年に、これまでも保険適用であった直腸がんに加え、結腸がんも保険収載され、現在当科も施設認定をとるべく準備をすすめているところです。広く皆様が安心安全と技術の進歩によるメリットを享受できますよう日々研鑽しております。
直腸がん
直腸がんの手術は、骨盤内という大変狭い空間で行うため、排尿や性機能をつかさどる神経を温存するために非常に繊細な操作が必要です。腹腔鏡手術でも、内視鏡の拡大視効果により繊細な手術を行っていますが、ロボット手術では手ブレ防止機能による繊細で確実な手術操作が可能です。また、鉗子の先端が曲がる多関節機能により、腹腔鏡ではむずかしい操作もロボット手術では術者のストレスなく行え、合併症である排尿障害や性機能障害をさらに軽減できる可能性があります。
池田 佳史
病院長
国際医療福祉大学 医学部教授
専門分野
消化器外科(消化器外科領域)、内分泌外科(甲状腺・副甲状腺・副腎)、内視鏡外科(消化器外科領域・甲状腺・副甲状腺・副腎)
星本 相淳
消化器センター長
国際医療福祉大学 病院教授
専門分野
消化器外科(肝胆膵外科)
新原 正大
消化器外科部長
国際医療福祉大学 病院教授
専門分野
消化器外科(上部消化管、食道)
加藤 亜裕
国際医療福祉大学 病院講師
専門分野
消化器外科
医療機関の方へ
地域医療連携部
電話:03‐3451‐8062(直通)
(日曜・祝日除く)
休日・夜間については、
03-3451-8325(代表)にご連絡ください。
FAX:03-3451-8345
メール:mita-renkei@iuhw.ac.jp