田村 雄一

循環器内科
田村 雄一

TAMURA Yuichi

見逃されがちな病気に光をあて、最新治療を患者様に還元できるよう取り組み続けます

専門・得意とする疾患・治療

私は心臓病の中でも「肺高血圧症」という難病や「肺血栓塞栓症(エコノミークラス症候群)」などの病気を専門にしています。肺高血圧症は患者様の数が全国で数万人以下の希少疾患と呼ばれる病気ですが、治療法がまだまだ標準化されておらず、診断と治療の双方において経験がものをいう極めて専門性の高い病気です。また肺血栓塞栓症も災害の際に注目されることが多いですが、適切な治療が受けられずにいると慢性化し、息切れなどの症状が悪化するため、早期に専門医が治療することが重要です。これらの病気は狭心症などに比べると数は少ないですが、近年病気の理解が進むにつれて患者様の数が激増していることから、これまでは見逃されていた方が多かったことが分かります。
私はこれらの見逃されがちな病気に光をあて、高度な治療を行うことによって「専門医を受診してよかった」と患者様やご家族に言っていただける医療をめざしています。

この分野に進んだきっかけ

国際医療福祉大学三田病院 循環器内科 田村 雄一医師

同じく循環器病・肺高血圧症の領域を専門とする私の恩師、佐藤徹先生(元 杏林大学教授)との出会いがきっかけになります。医学部4年生の時の講義の際に、肺高血圧症は若い人がかかる病気で、当時は非常に生存率が悪い病気であると話されていました。しかし1990年代に画期的な新薬の登場によって症状が改善する患者様が少しずつ増えていたこと、そして病院実習を通じて肺高血圧症の患者様を実際に受け持たせていただいたことにより、若い患者様の人生に大きな影響を及ぼす病気に対して共に闘うことができる領域は、医師としてとてもやりがいがあると感じ、この分野に携わりたいと思うようになりました。若い方は中学生から私の外来にいらっしゃるので、患者様ごとに抱えている背景も大きく異なります。そのように一人ひとり異なる社会生活と療養をいかに両立させながら治療を提案していくかという点も、私が医師としてやりがいを感じている部分です。

医師として大切にしていること、モットーなど

肺高血圧症の診療を専門とする循環器内科 田村 雄一医師

希少疾患の患者様たちから私も専門医として日々学ばせていただいています。治療の効果や副作用など、ケースごとにそれぞれ異なる中で、個々の患者様に最適な治療を常に模索しています。一方で「専門医にしか治療できない」患者様をできるだけ減らすべく、私のところに通院されていない患者様にも同様の治療効果をもたらすことができるように、治療経験をまとめて全世界へ論文として発表しています。これにより、海外の多くの専門医の先生とのつながりを築くことができました。世界とつながるネットワークを持つことによって、日本を代表して全世界の診断・治療方針を決定する委員会(WSPHA)  の27名のメンバーとして活動しています。これらの活動を通して、日本において患者様が最新の治療を受けることができるよう努めています。診察室での患者様との1対1のやり取りから、世界中の専門家との交流まで、私たちはさまざまな活動を通じてつながりを築いています。この繋がりを通じて少しでも患者様に還元できることを願っています。

今後取り組みたいこと、
めざしたいこと

遠隔診療の実施の様子

これまで患者様により良い医療を提供できるように、新型コロナ感染拡大前から遠隔医療にも取り組んでまいりました。テレビ電話だけではなくSNSなどを活用することで、患者様に安心して治療に取り組んでもらえるような環境を整備し、関東近辺以外の患者様にも地域の先生と連携しながら、専門的な医療を提供できるようになっています。また早期に適切な治療をしっかりと行うことで、点滴治療などの患者様に負担の大きい治療から離脱できる方も増えており、その詳細な離脱方法も世界に発信しています(Pulmonary Circulation誌:2022年)。さらに遠隔診療を活用しフォロー回数を増やすことで、薬の副作用の出方も軽減されることもわかってきました(雑誌心臓:2020年)。
こういった知見から、肺高血圧症専門でないとなかなか難しい医療を全国の患者様に届けられるよう、デジタルも利用した医療体制をより発展させていきたいと思います。

メッセージ

肺高血圧症は患者様の数が少ないこと、病気の管理に専門性が高いことから、現在は主治医の診療の経験によって治療反応性が異なることが報告されています(Circulation Journal誌2017年)。定期的な通院が難しい遠方の方でも、セカンドオピニオン外来の受診を含めて専門的な医療やアドバイスをご提供しています。肺高血圧症を患うご自身やご家族に最も適した治療をお探しの方は、お気軽にご相談ください。
また、当院では新しい治療も積極的に導入しております。肺高血圧症に関する治療だけではなく、新薬の治験や臨床研究も行っており、条件が合う場合や効果が期待できる患者様には積極的にご案内しております。
これまでのかかりつけの先生との関係を良好に継続し、一緒に病気と闘ってもらえるように常に配慮しておりますので、どうぞご安心してご相談ください。

医師のご紹介

循環器内科 
合屋 雅彦
循環器内科 
大門 雅夫
心臓外科 
秋田 雅史
血管外科 
重松 邦広
循環器内科 
田村 雄一

診療科

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専攻医研修を受けられる方・
若手医師の方へ

国際医療福祉大学三田病院では、専攻医(卒後3年目)以降から学位(医学博士)取得をめざしつつ、都心部で臨床経験を積むことができます。
また、専攻医取得後に通常勤務・診療をしながら学位取得をめざすことも可能です。