診療科のご案内

肺高血圧症センター

【肺高血圧症は金曜日午後に田村雄一医師が担当します。外来医師担当表はこちら

肺高血圧症は厚生労働省指定の難病であり、なかでも肺動脈性肺高血圧症は全国に患者様が数千人しかいない希少疾患です。そのため、新しい治療法は極めて専門性が高く、専門知識と数多くの経験をもち、集学的に治療を行うことのできる医師が少ないのが実情です。
当院において肺高血圧症の最先端の治療が提供できるように、2016年4月、「肺高血圧症センター」を開設しました。500例以上に及ぶこれまでの豊富な臨床経験をもとに、最先端かつ患者様お一人おひとりの病態に即したオーダーメードの治療法を提供できるよう努めています。また在宅療養においても、専門的知識をもった看護師がチームの一員としてともに治療にあたることで、社会的サポート、心理的サポートも提供しています。
さらに、合併することが多い内分泌疾患や膠原病について、それぞれを専門とする診療科と密な連携をとって治療にあたっています。
当センターでは、災害時などに話題になることが多いエコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)に対しても、早期診断と患者様の負担の少ない治療法にも積極的に取り組んでおります。

肺高血圧症について

肺高血圧症は図に示すように肺に血液を送る肺動脈という血管が狭くなって流れが悪くなることで、呼吸困難や心臓への負荷を来す病気で、10年以上前にはほとんど有効な治療法がなく5年生存率は2割に満たない重篤な病気でした。

図

図 左:正常の肺動脈・右:肺高血圧症の方の肺動脈で先の方が細くなり心臓に負担がかかる

しかし近年エポプロステノール(フローラン®/エポプロステノールAct®)の持続投与療法や画期的な経口薬などの新しい薬剤が登場してからは、生存率が飛躍的に改善しています。しかし肺高血圧症は全国に数千人しかいない希少疾患であるため、治療経験に恵まれない医師も数多いのが現状です。また新しい治療法は極めて専門性が高く取り扱いも難しいため、高い専門知識と数多くの経験をもった医師のもとで治療を受けることがこの病気と診断された患者さんにとって最も大切なことになります。

三田病院の肺高血圧症センターについて

肺高血圧症は経験豊富な専門医によって専門的な治療を受けることができるかどうかで、生命予後の見通しが大きく変わってきます。当院の専門医である田村雄一医師は日本および欧州において累計400例以上の肺高血圧症の方の治療に携わってきており。特に他の病院で治療が困難であり紹介されてきた重症の患者さんの治療に数多くあたってきました。

難病である特発性肺動脈性肺高血圧症でみると、数多くの重症の患者さんが受診されているにもかかわらず当院専門医による治療成績はグラフに示すように10年生存率が85%を超えており、世界中のどの国の治療成績よりも良好な予後を示しています。

これはひとえに数多くの治療薬の扱いに慣れた経験豊富な医師・看護師のスタッフがチームとして治療にあたっており、あらゆる種類の肺高血圧症の患者さんが安心して受診できる高度な医療体制が整備されていることによります。

図

図:当院専門医による治療成績と
その他の治療成績の比較

遠方にお住まいの患者さんへ

遠方より受診される患者さんも多いことから、患者さんの住まわれる地域の病院との連携も非常に密接に行なっています。診断時やエポプロステノール持続静注療法の導入時などの高度な専門知識を要する際には当院で加療を行い、その後の通院に関しては患者さんのご自宅近くの循環器専門医と連携しながら行っていくという体制で通院されている患者さんも数多くいらっしゃるため、遠方からの受診をお考えの際にも安心して受診していただけます。

エポプロステノール持続静注療法

エポプロステノール(フローラン®/エポプロステノールAct®)持続静注療法は肺動脈性肺高血圧症の治療における最も効果の高い治療法です。高度の肺高血圧症や内服薬での治療での改善が得られにくい患者さんを対象に行っています。図に示すとおりカテーテルを体内に留置し、そこから24時間持続的にフローランという肺の血管を高度にひらく薬剤を投与することで、肺高血圧症の症状を改善することができます。

エポプロステノール持続静注療法は体内に入っているカテーテルのケアや、薬液の管理を在宅で行う必要があるため、専門のスタッフによるしっかりとした指導が欠かせません。当院の専門医はこれまでこの治療法をたくさんの患者さんに提供してきました。したがってこの治療のノウハウがたくさん蓄積されており、新しくエポプロステノール持続静注療法を始める方にも、できるだけ短い入院期間で安心して治療を受けていただくことができます。またすでにエポプロステノール静注療法を受けている患者さんについては、カテーテルの抜去など緊急に発生したトラブルに備えて、ホットラインでいつでも医療スタッフと連絡がとれる体制となっています。

また現在は特発性肺動脈性肺高血圧症だけではなく、膠原病に起因する肺高血圧症や肺血栓塞栓性肺高血圧症および呼吸器疾患に伴う肺高血圧症など多彩な背景疾患をもつ患者さんが通院しているため、他科の医師とも密接に連携して治療にあたっています。

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図:エポプロステノール持続療法中
の方のイメージ図

肺高血圧症と向き合っていくために

肺高血圧症は難病に指定されている疾患であり、様々な形で治療を継続する必要があるので、患者さんは病気と長くつきあっていかなればなりません。またプロスタグランジンI2持続静注療法のように、自宅でもケアをしっかりしていかなければならない治療法もあるため、専門の医師と看護師のチームによる長期間のサポートが必要になります。当センターでは、患者さんが病気とつきあっていく上でどのような社会的サポートや心理的サポートを必要とし、どのようにすればそれが得られるかや、より質の高い生活を送るにはどのようにすればいいかということを含めて患者さんを拝見しています。また当院の専門医のもとには、国際的なネットワークを活かして世界中の治療に関する最新の情報が入ってくるため、日本において常に最高レベルの治療を提供することができます。

当センターにいらっしゃる患者さんは肺高血圧症と診断されたにもかかわらず治療に関する情報の不足から不安を抱えて受診される方も多いですが、当院受診後には適切な治療を適切な段階で受けられることができ、また治療方針や今後の見通しに関しても主治医からしっかりと説明を受けることができます。遠方からの受診に関しましても患者さんがお住まいの地域の病院と連携を行って病気や治療法に関する情報交換を行っておりますため、遠方から頻回に受診することなく治療を受けられるようになっています。

ご予約・お問い合わせ

電話03‐3451‐8121(代表)

※9:00~17:00の間にお願いいたします。