消化器センター
がん以外の消化器疾患
胃・十二指腸潰瘍
良性の場合には、原則的に手術は行いません。内視鏡を用いて診断を行いますが、生検によってがんとの鑑別をいたします。これと併せて、生検標本の顕微鏡で調べたり、細菌培養したり、また迅速ウレアーゼ試験を行ったり、さらには血液検査(血清抗体価)や呼気試験、便中抗原などの検査を用いて、ピロリ菌(Helicobacter pylori)感染の有無を調べます。これらの結果をもとに、ピロリ菌除菌による治療、プロトンポンプ・インヒビターやH2ブロッカーと胃粘膜保護薬を組み合わせて、保存的に治療を行います。従来、手術の適応とされてきた出血や穿孔なども、出血は内視鏡的な止血治療や血管塞栓術、穿孔は胃内を減圧することなどによって、可能なかぎり保存的に治療する方針です。手術をする際も、従来の広範囲胃切除ではなく、出血部を止血するだけ、穿孔部を閉鎖するだけの機能を温存する手術を第1に選択しております。また、腹腔鏡手術を用いて、より小さな創で手術をすることも行います。
胆石症(胆のう結石、総胆管結石など)
胆石症の診断は、超音波検査、CT、MRCP(MRI)、ERCPなどで行います。
胆のう結石も症状がなければ、超音波検査などで経過観察し、症状がある場合は、原則的に腹腔鏡下で胆のうを摘出いたします。総胆管に結石が存在するときは、内視鏡下に十二指腸乳頭(胆管の十二指腸への開口部)を切開し、結石を取り出します。これがうまくいかないときは手術となりますが、この場合は総胆管を切開し、チューブを挿入して治療を行います。黄疸や炎症が強い場合は、超音波ガイドに体表から肝臓に針を刺して、胆嚢あるいは胆管にチューブを入れることで症状を軽減させる治療(経皮経肝胆嚢または胆管ドレナージ)を先行させることもあります。
肝炎、肝硬変
肝炎に対する治療としては、C型慢性肝炎に対するインターフェロン治療やB型慢性肝炎に対する抗ウィルス療法が一般的となり、その効果が明らかになってきています。まず、基本的なデータを把握、すなわち肝臓の機能の評価、肝障害の程度(活動性・線維化など)を肝生検の評価の後に、現在の病状や今後の方向性、治療の方針をたてます。慢性肝炎・肝硬変の方は肝がんの危険性がありますが、肝腫瘍は早期発見でかなり治療効果が上がりますので、画像検査(腹部超音波、造影CT、造影MRI)を駆使して、肝腫瘍の発見に努めます。
その他
胃食道逆流症、過敏性腸症候群、機能性胃腸症、炎症性腸疾患などの消化器疾患は、胸焼け、腹痛、腹部の違和感、下痢や便秘などの便通異常などが現れるもので、実際の臨床現場で最も多く認められるものです。このような疾患も、外科・消化器センターでは重要な疾患と考えております。