診療科のご案内

形成外科

形成外科は英語でPlastic Surgeryといいます。Plasticとはギリシャ語のplastikos(形づくる、塑造)を語源としているので、形成外科は主には表に見える部位、関連する部位の形にこだわった治療を行う科といえます。例えばケガ、皮膚腫瘍、顔の変形、腫瘍切除後の修復を治療しています。当院の形成外科は「顔面・皮膚手術のスペシャリスト」をモットーに小さなケガから乳房再建まで、幅広く皆様の治療のお手伝いをさせていただきます。

こぶ、しこり、ほくろ、皮膚腫瘍の治療

皮膚のできものは様々です。母斑、粉瘤、脂肪種、皮膚がんなどそれぞれ原因に合わせた治療が必要です。当科では症例に応じてエコーによる術前診断、皮膚科との連携を行い、治療方針を検討します。また、手術となった場合は「きれいな傷跡」を目指し、真皮縫合、皮膚縫合を行います。

粉瘤(左:治療前、右:治療後)

顔面皮膚悪性腫瘍(左:治療前、右:治療後)

皮膚の中で傷を寄せる「真皮縫合」

ケガ、やけどの治療

ケガややけどは日常よく遭遇し、ご自分で対処される場合も多いと思いますが、なかなか治らなかったり、傷跡が意外と目立ったりすることもあります。そういう時はぜひ専門家を一度受診し、「このまま自宅で治せるケガ」と「病院で治すケガ」の判断や、処置方法のアドバイスを受けることをお勧めします。

外傷(左:治療前、右:治療後)

熱傷皮膚移植(左:治療前、右:治療後)

顔の骨折(頬骨骨折、鼻骨骨折など)

顔の骨が折れると、顔の変形、ものが二重に見える、噛み合わせがおかしくなってしまった、皮膚の知覚がおかしい、などの症状があります。顔の骨折の治療は、手術方法、手術すべきか否かも含めて、症状と希望に応じて慎重に決めることが大切です。顔の骨折は必ずしも緊急手術とはなりません。受傷後1-2週間の余裕はありますので、個々の患者の条件にあった治療方針を十分検討することをお勧めします。当院では症例によっては3Dプリンターによる実物大の顔面骨3Dモデルを作成し、骨の整復方法と必要最小限の固定方法の検討を行っています。また症例によっては、特に鼻骨骨折は術中にエコー(超音波画像診断装置)を用いて、骨折の整復状態を確認するようにしています。

頬骨骨折(左:治療前、右:治療後)

頬骨骨折3Dモデル(左:患側、右:健側ミラーイメージ)

鼻骨骨折(左:治療前、右:治療後)


鼻骨骨折整復エコー動画

斜鼻・陳旧性鼻骨骨折

「鼻をぶつけて、曲がったままになっている」というようなことはありませんか? それは鼻の骨や軟骨が曲がったまま治ってしまった可能性があります。このような症状を斜鼻あるいは陳旧性鼻骨骨折と言います。鼻骨の変形は非常に複雑で、その形態は患者ごとに異なります。当科では3Dプリンターを使用し、CTデータより3Dモデルを作成し、変形の分析、治療プランの検討、患者とのイメージの共有に役立てています。美容目的の治療と異なり斜鼻の治療は「もともとの形に戻す、もともとの組織を温存する、過度な修正、修復は行わない」を原則としています。

斜鼻・陳旧性鼻骨骨折
(左:治療前、右:治療後)

斜鼻3Dモデル(皮膚・骨並列直立モデル)

眼瞼下垂・逆さまつげ

「まぶたが下がってきた」「眼が開けづらい」「眠そうな目をしている」などの症状は眼瞼下垂(がんけんかすい)かもしれません。原因はまぶたの中の筋肉が緩んでいる場合がほとんどで、これは手術で改善できる可能性があります。ほかにもまぶたの皮膚が余って被さっていることもあり、その場合は皮膚を切除することで改善できます。しかし、まぶたは無意識に左右でバランス、眉毛とバランスをとっているため、下垂の手術は難しい時もあります。当科では症例によって左右同時進行で手術を行い、手術中に座ってもらい、ご自身でもまぶたの状態を確認していただき、できるだけ左右差が少なく、満足できる結果が得られるように努力しています。

左右差のある眼瞼下垂(左:治療前、右:治療後)

逆さまつげは睫毛内反(しょうもうないはん)、眼瞼内反(がんけんないはん)とも言われる、まつげが内向きに向いてしまって、目に当たって痛みが発生する状態です。眼科で定期的にまつげを抜いている方も多いと思われます。手術をすることでまつげを本来の外向きに治すことができます。

逆さまつげ(左:治療前、右:治療後)

乳房再建

乳がんの手術で生じる乳房欠損や変形を可能な限り回復させる手術を“乳房再建”といいます。その方法には、乳房のふくらみを人工物で再建する方法(エキスパンダー・インプラント法)と、腹部、背部などの皮膚と脂肪を胸に移動、移植する方法(自家組織移植法)があります。当科では乳腺外科と連携し、乳房の状態や希望に合わせて、インプラント法か自家組織移植法を検討、選択しています。また乳房の形態を3Dスキャンし、乳房の3Dモデル作成し、出来るだけ健側に合わせるようにしています。

自家組織による乳房再建(左:治療前、右:治療後)

ブレスト3Dフォルム“B3”

わき汗、わきが、腋臭症、多汗症

わき汗、わきが、でお悩みではありませんか?暑くないのにわきだけ汗をかいている、シャツのわきの汗染みが目立つ、においが自分でも気になる、他人ににおいを指摘されたことがある、など診療を行っていると困っている方は意外と多いことに気付かされます。
わき汗が多く、日常生活に支障をきたしている場合は「多汗症」、わきがが強い場合は「腋臭症」と言われ、様々な治療方法があり、保険適応の治療法もあります。
当院ではわきの多汗症(腋窩多汗症)に対して、「ボトックス注射」による治療(保険適応)を行っています。ボトックスは神経をブロックする効果があり、多汗症の場合はわきの皮膚に注射することによって、汗を出す信号がブロックされるので、汗の量が減る効果が期待できます。効果には個人差があり、約半年持続するといわれています。1年に1回、特に汗の量が増える夏前に治療することをお勧めします。
腋臭症に対して当院では「皮弁法」という手術による治療(保険適応)を行っています。当院の皮弁法は汗腺が最も集中するわきの中央の皮膚を無理のない幅で切除し、さらに周辺の残った汗腺を皮膚の裏から削るように切除します。その際に皮膚が薄くなるので、適切に管理をしないと、血腫、皮膚壊死、創離開、ケロイドなどの合併症が発生しやすいのも腋臭症手術の注意点です。
腋臭症、多汗症は様々な治療法があり、注意点もあります。当院では安全な治療法を安心して受けられるよう、適切に判断しますので、お気軽にご相談ください。

腋臭症手術(左:治療前、右:治療後)

きずあと、ケロイド

ケガや手術後のきずあとが赤く盛り上がったり、広がったりした状態をケロイドといいます。ケロイドになる原因は、①体質、②きずの不適切な治療、③好発部位、などが考えられています。例えば体に何か所もケロイドがある方、家族もケロイドがある方は体質が原因と思われます。ケガしたときに適切な治療をしなかった場合や、手術の際の皮膚の縫い方の違い、アウターケアの有無でもケロイドになることがあります。また、耳たぶ、肩、前胸部、関節はケロイド好発部位です。ケロイドは見た目の問題もありますが、引きつれやかゆみ、疼痛を伴うことが多く、日常生活に支障をきたす場合があります。ケロイドはこのように様々な要因が絡み合っており、人種や年齢によっても変化するため、治療は各患者に適した治療方法を選択することが重要と思われます。
当院ではテーピング、圧迫、軟膏、内服、注射などの治療法のほか、切除と電子線照射を組み合わせた放射線科と連携した治療も行っております。我々は常にお勧めできる治療選択枝をご説明し、患者と相談しながら治療方針を検討します。きずあと、ケロイドでお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。

ケロイド(左:治療前、右:治療後)

その他

ほかにも大人の臍ヘルニア、褥瘡・難治性潰瘍など様々な疾患の治療を形成外科では行っています。

成人臍ヘルニア(左:治療前、右:治療後)

難治性潰瘍・褥瘡(左:治療前、右:治療後)

しわの治療

3Dモデルの活用

形成外科はその名の通り「形・かたち」を取り扱うことが多く、3Dモデルを利用できる疾患が非常に多い診療科です。当科ではこれまで、鼻骨骨折、頬骨骨折、眼窩骨折、上顎骨折、下顎骨折、前頭洞骨折などの各種顔面骨骨折3Dモデルのほか、乳房3Dモデルや耳介3Dモデルを作成し、手術補助として利用してきました。

耳介3Dモデル(柔道耳の手術)

乳房再建用3Dモデル(ブレスト3Dフォルム"B3")

鼻骨骨折3Dモデル

3Dモデルの作成相談

慶應義塾大学形成外科と共同で頭蓋顎顔面手術用(クラニオフェイシャルサージャリー)の3Dモデル、顎変形3Dモデルなども他施設と連携し作成しています。その他整形外科、耳鼻科、脳神経外科、歯科口腔外科領域でも3Dモデルは利用でき、疾患によってはK939 画像等手術支援加算「2」(2,000点)が算定可能となっております。3Dモデルの作成について相談があれば、oharaprs@gmail.comまでご連絡ください。

顎変形3Dモデル

発表歴

第31回頭蓋顎顔面外科学会学術集会 2013年11月24・25日 名古屋
「鼻骨変形治癒骨折矯正術の問題点の検討」大原博敏、津江知里、緒方寿夫
「鼻骨変形治癒骨折手術の鼻軟骨矯正における吸収性プレートの利用」緒方寿夫、大原博敏、津江知里
「鼻骨用光硬化型外固定スプリントの使用経験」津江知里、大原博敏、緒方寿夫、坂本好昭、貴志和生

第57回日本形成外科学会総会・学術集会 2014年4月9-11日 長崎
「鼻骨変形治癒骨折に対するopen rhinoplasty 鼻骨整復の問題点と我々の治療方針」大原博敏、津江知里、緒方寿夫
「鼻骨変形治癒骨折に対するopen rhinoplasty 鼻軟骨整復の問題点と我々の治療方針」緒方寿夫、大原博敏、津江知里
「鼻中隔軟骨矯正における吸収性プレート使用の適応と問題点」津江知里、大原博敏、坂本好昭、矢澤真樹、緒方寿夫

第59回日本形成外科学会総会・学術集会 2016年4月13-15日 福岡 「軟骨性斜鼻に対する鼻軟骨部の手術について」大原博敏、高田圭以子、緒方寿夫

第60回日本形成外科学会総会・学術集会 2017年4月12-14日 大阪
「当科で行った眼瞼下垂手術325例の合併症と再手術に至った要因の検討」高田圭以子、大原博敏
「鼻骨変形治癒骨折に於ける骨変形部骨切りの適応と問題点」大原博敏、高田圭以子、緒方寿夫

第35回日本頭蓋顎顔面外科学会学術集会 2017年11月16-17日 福岡
「鼻骨手術におけるパーソナル3Dプリンターの活用方法」大原博敏、高田圭以子

第61回日本形成外科学会総会・学術集会 2018年4月11-13日 福岡
「両側同時進行眼瞼下垂手術の効果~手術時間短縮を求めて~」高田圭以子、大原博敏

第7回日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会 2019年10月10-11日 大宮
「スマートフォンアプリを利用し作成したブレスト3Dフォルム“B3”によるインプラントサイズガイド」大原博敏、高田圭以子、小西寿一郎、田中規幹

第37回日本頭蓋顎顔面外科学会学術集会 2019年10月31日―11月1日 東京 「陳旧性鼻骨骨折・斜鼻における新たな3Dモデルの応用」大原博敏、高田圭以子

手術実績

診療科 術式 2019年度
形成外科 乳房再建術(自家組織、シリコン、乳頭再建含む) 7
眼瞼下垂 19
眼瞼形成手術(義眼床含む) 7
瘢痕形成術 25
下肢再建 12
良性/悪性皮膚腫瘍摘出術 43
顔面外傷手術(骨折含む) 14
その他の手術 58
185

外来医師担当表

曜日 午前 午後
辻阪 安声 ★<創傷治療センター>辻阪 安声・松﨑 恭一
大原 博敏 (手術)
(手術) (手術)
辻阪 安声 ★<創傷治療センター>辻阪 安声
大原 博敏 (手術)
交替制 松﨑 恭一(第2・4週)
【特記事項】
  • ※★印は予約制となっております。
ご予約・お問い合わせ

電話03‐3451‐8121(代表)

※9:00~17:00の間にお願いいたします。