診療科のご案内

耳鼻咽喉科(聴覚・人工内耳センター)

耳鼻咽喉科専門外来について

難聴外来

岩崎聡医師が毎週月・水・金曜日の午後に、完全予約制で難聴外来を行っています。

耳は外耳、中耳、内耳の三つの部分に分けられます(下図1)。難聴外来では外耳、中耳に原因のある伝音難聴(手術で聴力改善の可能性があります:一般外来で診察しております)ではなく、主に内耳以降に問題のある感音難聴の患者様の「難聴の診断と治療」を目的に診察しております。

図1 耳の構造

外来では、何種類もの聴覚検査を組み合わせた精密聴力検査、CTやMRIなどの画像検査を用いて精密な診断を行っていきます。
高分解能CTや3D-MRIの進歩により、従来わからなかった内耳の異常(奇形)なども診断可能となってきました。また、従来「原因不明」とされることの多かった感音難聴は、近年遺伝子変異が原因である例も多いことが明らかとなってきております。

必要と判断された患者様には「難聴の原因遺伝子解析」も行っています。

このように、まずは難聴の原因や程度を診断し、患者様それぞれに適した治療法や介入を提案させていただいております。

内服薬による治療が可能な場合は、適切な薬剤を処方いたします。
薬の内服での治療が困難な場合には、難聴の程度に応じて補聴器の装用をご提案しております。補聴器適合検査を行いながら補聴器をフィッティング(調整)しております。

しかし、どんな補聴器を使っても音声によるコミュニケーションが困難な高度難聴の方もいます。
従来、このような患者様には手話、読話(唇の動きを読む)、筆談などの音声を用いない方法しかありませんでした。
しかし現在では、「人工内耳」を埋め込む手術により「音を取り戻す」ことができるようになりました。

その他、低い音は聞こえるが高い音が聞こえない方に対する「残存聴力活用型人工内耳」(図2)や既存の中耳の手術を受けても聞こえがよくならなかった方に対する「植込型骨導補聴器」(図3)などの新たな治療法の適応になるかの判断(適応となれば手術)も積極的に行っております。

図2 残存聴力活用型人工内耳

図3 植込型骨導補聴器

日本最先端の情報をご提供いたします。
突発性難聴などで片耳に耳鳴りを伴う高度な難聴が残ってしまった方には、最新の治療法の情報提供をいたします。

図4に示すような聴力の方は、ぜひ受診してみてください。

図4

音声外来

国際医療福祉大学東京ボイスセンター長の渡邊雄介医師が第1木曜日に、完全予約制で音声外来を行っています。
声がかすれてしまう(嗄声)方や発声に関して悩まれている方は、まず一般外来を受診し、専門外来受診の必要性があれば予約、もしくは東京ボイスセンターへご紹介いたします。

アレルギー性鼻炎外来

体内に入ってきたアレルゲン(抗原)によりIgEという抗体が作られ、それが体内の様々な免疫細胞に結合し、それがさらにアレルゲンと反応することで生じる様々な鼻の症状を総称してアレルギー性鼻炎と呼びます。季節性の花粉によるものはいわゆる花粉症と呼んでいます。
アレルギー性鼻炎の治療は大きく①抗原回避、②薬物療法、③手術、④免疫療法、に分かれます。抗原に接しなければ症状は出ないので理想的には①抗原回避を行なっていただくのがよいのですが、実際には完全に抗原を回避することは難しい場合が多いため、現在は②薬物療法が中心となっています。
当科ではアレルギー性鼻炎の原因となっている抗原の特定のために血液検査を行ない、それと並行して鼻アレルギー診療ガイドラインに則った標準的な薬物治療(内服や点鼻薬など)を行なっております。それでも改善が乏しい患者様に対しては③手術(レーザー治療や鼻中隔手術など)や、④免疫療法(舌下免疫療法:スギ、ダニに対する治療)も行なっています。
また、既存の治療で改善が見られない重症スギ花粉症の患者様に対し、これまでと異なる注射薬での治療も最近導入されました。これは、アレルゲンに対する感受性を抑制することで各種鼻症状を抑える効果が見込める治療です。血液検査の結果や体格に応じ投与量が決まります(検査の結果、使用できない患者様もいます)が、2~4週間ごとに来院し注射する必要がある治療です。

以上を下の図にまとめます。当科では、以下の様に従来の薬物治療で改善のない患者様へも様々な治療を提供しています。

いびき外来

睡眠中の症状であるいびきは、本人が知らないうちに同居のパートナーや家族などの睡眠を妨げたり、旅行先で同室の方の睡眠を妨げたりしてしまうこともある厄介な症状です。
一般には疲れているときや飲酒したときに出やすいといわれていますが、そうでないときにもいびきが出る場合があり、様々な原因が考えられます。
当科のいびき外来では耳鼻咽喉科の視点から物理的にいびきの軽減を図るべく手術加療を提案しております。



「いびき」の原因となる病気と治療法

いびきは「上気道」という鼻から喉頭までの空気の通り道が狭くなり、その狭窄部を空気が通るときに空気抵抗が大きくなり、粘膜が振動して生じる音です。
そのため、治療には原因によって通り道を広げる、振動する粘膜を小さくするという方法があります。

いびきが出るときに考えられる病気には次のようなものがあります。

・アデノイド増殖症・扁桃肥大

鼻の奥にあるアデノイドとよばれる組織や、いわゆる「扁桃腺」の肥大により、上気道が狭窄するため、いびきの原因になることがあります。
扁桃肥大が見られる方には扁桃炎を反復する慢性扁桃炎を合併している場合もあり、扁桃を手術で摘出する「口蓋扁桃摘出術」を行います。上気道が広がるだけでなく、扁桃炎を繰り返しにくくなる効果も期待できる可能性があります。

・口蓋垂の肥大・軟口蓋低位

口蓋垂(のどちんこ)が通常より長かったり太かったりすると、喉が狭くなったり、振動する粘膜が大きくなったりするため、いびきの音が大きくなる場合があります。
また軟口蓋(上顎の柔らかい部分)が低い位置まできており舌に近いために、喉が狭く、振動する粘膜が大きく、いびきの音が大きくなることがあります。口蓋垂や周辺の振動しやすい粘膜を切除し整える「軟口蓋形成術」を行い、振動する部分を小さくすることでいびきの音を小さくします。

・アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎とは、花粉やダニ・ホコリなどのアレルギー物質によって鼻粘膜にアレルギーが生じ、くしゃみや鼻水が頻繁に出るほか、粘膜の腫れで鼻の通りが悪くなり口呼吸になってしまうため、いびきをかきやすくなります。投薬、「下鼻甲介粘膜レーザー治療(局所麻酔、日帰り)」を行います。

・鼻中隔弯曲

鼻中隔弯曲とは、左右の鼻の穴を隔てている仕切りの部分(鼻中隔)が強く曲がっている状態のことを指します。通常、多少曲がっていても何ら支障がないことがほとんどですが、強く曲がっている場合は鼻の通りが悪くなることで、いびきをかきやすくなります。
このほか、嗅覚障害や頭痛、鼻血が出やすくなるなどの症状が現れることもあります。
治療を行う場合は、鼻の通りをよくするために鼻中隔軟骨の一部を切除する手術「鼻中隔矯正術」を行うのが一般的です。

・肥厚性鼻炎

鼻の粘膜が炎症のために腫れてしまう状態です。アレルギー性鼻炎と同様に鼻呼吸ができず、いびきの音が大きくなることがあります。
原因は様々ですが、市販の点鼻薬(血管収縮薬)を長期に使用することも原因となることがあり、以前からこのような点鼻薬を使用している方、このような点鼻薬を使用しても最近効果が弱く感じる方はその可能性があります。治療には投薬治療がありますが、効果がある方が限られるため、比較的積極的に「下鼻甲介粘膜レーザー焼灼術(局所麻酔、日帰り)」を行いますが、それでも効果が限られる場合には「下鼻甲介切除」等の全身麻酔手術を行う場合もあります。

・睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠時に極端に一時的に呼吸回数が減る、または呼吸が一時的に停止してしまう病気です。症状にはいびきのほか、日中の眠気や夜間頻尿、睡眠時の低酸素状態の影響による頭痛、集中力・記憶力の低下・高血圧・不整脈などが挙げられます。
この病気の原因として肥満やあごが小さい・首が短い・歯並びが悪い・扁桃肥大・アデノイド増殖症などがあります。
治療は原因や程度によってマウスピース、CPAP療法、手術などがあります。睡眠時無呼吸を放置すると、自動車運転中の事故や循環器系の疾患など命に関わる事態を招く事もあるため、病院での検査・治療が必要です。
当院では呼吸器センターで睡眠時無呼吸症候群の診断およびCPAP加療が行われております。耳鼻咽喉科ではいびきの治療に準じて手術加療で上気道の狭窄の軽減をはかります。CPAPの効果が思うように出ていない方はぜひ一度受診ください。

めまい平衡検査外来

ぐるぐる回る、ふらつく、ふわふわする、まっすぐ歩けない、頭が重い…、「めまい」と表現される症状にもいろいろあります。激しい頭痛を伴ったり、持病のある方の急なめまいであったりすれば頭蓋内疾患(脳出血、脳梗塞等)や心疾患(血圧変動、血糖値変動)などがあります。しかし、実際には耳が原因で起こるめまいも多いことは意外に知られていません。
めまいで緊急受診し、頭を調べてもらったが「頭に緊急の異常はありません」と言われてしまった方、めまいを反復している方、めまいに伴い難聴がある方々につきましては、耳鼻咽喉科にはめまいを主として扱う神経耳科という分野があり、脳疾患や循環器疾患を含めためまいを起こす病気の原因や程度を総合的に診断します。
めまいの診療で重要なのはめまいの原因を調べることです。この平衡検査外来ではめまい診断に必要な前庭機能検査(眼振検査)、重心動揺検査、画像検査(CT/MRI/Gd造影3T-MRI)を行い、耳性めまいの関連を確認します。


該当する疾患(例)

・良性発作性頭位めまい症
・メニエール病
・めまいを伴う突発性難聴
・遅発性内リンパ水腫
・慢性中耳炎に伴うめまい症
・聴神経腫瘍


受診のながれ

一般外来を受診していただきます。
(可能であれば診療情報提供書をお持ちください。診療の際に大変参考になります)
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医師の診察を受け、「めまい平衡検査外来」の予約が入ります。
関連する検査を受けたり、予定をいれたりします。
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平衡検査を行います。
めまい相談医(めまい平衡医学会認定)から結果を説明いたします。
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かかりつけ医または当院一般外来で、結果をもとに治療またはフォローとなります。
他の診療科の診察が必要な場合にはそちらへご紹介する場合があります。