心臓血管センター
弁膜症/胸部大動脈瘤/心不全
大動脈弁狭窄症(Aortic Stenosis: AS)
心臓の出口にある大動脈弁が硬くなりうまく開かなくなった状態です。全身に血流を送り出せず、各臓器の血流が低下してしまいます。
要因
先天性要因:二尖弁(人口の1.3%)
後天性要因:動脈硬化性(高血圧、糖尿病、喫煙、透析など)、リウマチ性
治療
大動脈弁置換、経カテーテル的大動脈弁植込み
当院では大動脈弁置換術の場合、単独であれば積極的に右小開胸手術(MICS)にて行っています。
大動脈弁閉鎖不全症(Aortic Regugitation: AR)
心臓の出口にある大動脈弁がうまく閉じなくなった状態です。全身に送り出した血液が左心室に逆流してしまいます。重症の状態が続くと左心室が拡大し心機能が低下します。
要因
弁の変性、大動脈の拡大、大動脈基部の拡大
治療
大動脈弁置換、自己弁温存大動脈基部再建
当院では、弁の傷みが強くなければできるだけ弁を残す自己弁温存手術を積極的に行っています。
大動脈弁置換術の場合、単独であれば積極的に右小開胸手術(MICS)にて行っています。
僧帽弁狭窄症(Mitral Stenosis: MS)
左心房と左心室の間にある僧帽弁が石灰化や炎症によって硬く開きづらくなります。左心房内で血流が停滞し心房細動を合併することが多く、脳梗塞をはじめとした血栓症の原因となります。
要因
動脈硬化性(特に透析)、リウマチ性
治療
僧帽弁置換
MACと言って僧帽弁周囲の石灰化が高度な場合は石灰化を除去してパッチにより補強して人工弁置換を行います。
心房細動がある場合は後述の心房細動治療を同時に行う場合があります。
僧帽弁閉鎖不全症(Mitral Regurgitation: MR)
左心房と左心室の間にある僧帽弁がうまく閉じなくなり左心室から左心房に向かって血液が逆流します。重症の状態が続くと次第に左心室の拡大と心機能の低下が起こります。
要因
特発性腱索断裂、虚血性心筋症、長期の心房細動
治療
僧帽弁形成、僧帽弁置換
当院では、できるだけ弁置換を回避し弁形成を行うようにしています。弁形成であれば積極的に右小開胸手術(MICS)にて行っています。
心房細動がある場合は後述の心房細動治療を同時に行う場合があります。
三尖弁不全症(Tricuspid Regurgitation: TR)
右心房と右心室の間にある三尖弁がうまく閉じなくなり右心室から右心房に向かって血液が逆流します。重症の状態が続くと下腿浮腫や肝不全・腎不全を起こします。
要因
僧帽弁疾患に合併、長期の心房細動
治療
三尖弁形成、三尖弁置換
三尖弁単独で手術になることは少なく、多くは僧帽弁との同時手術になります。基本的にはリング(人工弁輪)による形成で逆流を制御できますが、長期間の罹病により弁が退縮しているような場合は弁置換となります。心房細動がある場合は後述の心房細動治療を同時に行う場合があります。