心臓血管センター
ご挨拶
弁膜症の最大の特徴は、治療の選択肢が複数あり、その選択肢によって人生が大きく変わるということです。
それぞれの選択肢のご自分にとってのメリットデメリットを良く考え、信頼できる医師とよく相談しながら決めることが大切です。
まずはそれぞれの治療法の特徴をよく理解なさってください。そして“医師にお任せ”でなく、ぜひご自身で考えて、選び抜いてください。
私はそのお手伝いをしたいと思います。
診療概要
1.弁膜症手術の権威が診療します
加瀬川医師は、日本最多の心臓手術の実績を誇る榊原記念病院で多くの弁膜症手術を執刀してきた弁膜症手術の権威です。
80年代頃まで日本ではあまり普及していなかった自分の弁を温存する弁形成術の普及とレベルアップに力を尽くし、弁がいたみすぎて形成できない場合は、人工弁でなく自己組織(心膜)を使用して僧帽弁を再建する手術を開発しました。
いかにして患者様お一人おひとりのライフスタイルに最適な治療を選択するかを、幾多の手術を執刀しながら常に考え続けてきたことが、加瀬川医師の原動力です。
2.インタラクティブコンセントを大切にします
医師などが、患者様に情報を差し上げて同意を得ることを“説明と同意-インフォームドコンセント”と言いますが、加瀬川医師が大事にしているのは“相互信頼に基づいた治療選択-インタラクティブコンセント”です。
“人生の優先順位,人生観”をうかがい、できること・できないことをお伝えする。こうしたキャッチボールの着地点として、双方が納得できる治療方針を探ります。
3.積極的にセカンドオピニオンをお受けします
通常診療のほかに、セカンドオピニオンを積極的にお受けします。
紹介を受けてみえる患者様のなかには、軽度と言われたのにかなり進んでいて緊急手術を要した方、逆に重度と言われていたのに軽度で、手術せずに10年以上経過している方など、セカンドオピニオンが非常に有効であるケースが少なくありません。
医師の診断力が重要であるのはもちろん、進行スピードの予測の難しさも、この病気の特徴です。
心臓弁膜症とは?
●急増中。特に高齢者の増加が顕著
まだまだご存じない方もいらっしゃるかもしれませんが、心臓弁膜症は、ここ十数年で急激に増えている心臓疾患で、とくに高齢者の方に増加が顕著です。
自覚症状がなくとも、心臓の雑音や心拡大を指摘されたことがある65歳以上の方は、一度は専門医を受診してみることをお勧めします。
●自覚症状ないまま進行
たいていはゆっくり進行しますが急激に悪化する場合もあって、自覚症状も出にくいので、ある日突然ばったり倒れたりすることもあります。
重度でも軽度でも、一度診断がついている方は放置せずに専門医の診察を急ぐことを推奨します。
●弁膜とは心臓の扉、扉が傷めば壁も傷む
全身の血流がとだえぬよう動き続けるポンプが心臓ですが、一方向に安定的に流れるよう、一旦膨らませて血流を吸い込んだら逆流して戻っていかないよう、一旦絞って送り出したら逆流して戻ってこないように開け閉めする弁が4つあります。
このうち左心房室の入り口にある「僧帽弁」、出口にある「大動脈弁」に、弁膜症のほとんどが発症します。
症状には、かたくなって弁が開きにくくなる「狭窄型」(狭い)、ぴったり閉まらなくなる「閉鎖不全型」(漏れる)がありますが、たとえば出口の扉が開きにくくなれば、血液を送り出すのに壁面に余計な力がかかります。壁、すなわち心臓の筋肉を傷めぬよう、弁に手当が必要になるわけです。
みつけるには?
●一般的な健康診断(レントゲン+心電図)では難しい
胸部レントゲンを撮れば、負担がかかっている心臓は通常に比して大きくなっている場合があるのでひとつの目安にはなりますが、その精度は決して高くはありません。
心電図は、心臓の動きを電気的な側面からとらえる検査です。不整脈の診断では最も価値のある検査ですが、弁膜症の有無はわかりません。
●発見のきっかけは聴診であることが多い
たまたまかぜで受診した際、心臓に雑音があると診断されたことが弁膜症発見のきっかとなるケースは少なくありません。
健康診断でも、聴診を含む診察がないケースが増えているようで、医師自身が触診や聴診といった診察の基本が苦手であるという風潮も耳にします。
他の病気も同様ではあるのですが、とくに心臓疾患は、聴診が基本中の基本です。
●確実な診断には心エコー検査が必須
胸部レントゲンでは通常の大きさに見えても、心エコー図をとってみると、特定部分が大きかったりいびつだったりするほか、その機能や弁の状態が詳しくわかります。
この検査結果によって、軽度なのか重度なのか、あるいは弁の形状から動きまでを診断して、手術の適応を判断します。
治療方法と選択
心エコー検査などによって、すぐに手術する必要があるのか経過観察か、判断します。手術の方法には、以下の7つがあります。ロボットで行う施設もあります。
手術について
僧帽弁膜症
1.弁形成術 2.人工弁置換術(機械弁)3.人工弁置換術(生体弁)
大動脈弁膜症
1.弁形成術 2.人工弁置換術(機械弁)3.人工弁置換術(生体弁)4.カテーテルによる大動脈弁置換術 *現在は大動脈弁狭窄のみ
症状がなくても手術したほうがよい場合も少なくありません。重度であるのに放置すれば、心不全や不整脈を起こす可能性も高まります。また、いずれ手術が必要なら早いほうが“生活の質”を保ちやすい傾向にあります。
心臓弁膜症の手術は人工心肺装置を使いますが、技術的な進歩によりリスクは大幅に減じました。
選択について
実際に手術するかのかしないのか、どのような手術をするのかは、患者様と話し合いながらライフスタイルを尊重して決定していきます。
機械弁を用いた人工弁置換術は血栓ができやすく、ワーファリンという血液をさらさらにする薬を一生服用します。スポーツや、出産など、生活に制約が生じます。
一方、生体弁は長持ちしないため、手術時の年齢によっては一生のうちに再手術が必要になります。
高齢なら生体弁、若ければ機械弁と、できるだけ再手術しないということを基準に年齢だけで判断する施設もあるようですが、生活に制約が生じてでも手術は一度きりにしたいのなら機械弁を使った置換術、逆に、再手術の可能性があっても出産やスポーツを謳歌したいというなら生体弁を使った置換術というように、ご自身のライフスタイルに沿った選択をしっかりお手伝いしてまいります。
心臓弁膜症とその治療について詳しく知りたいという方には、加瀬川医師の著書をおすすめします。
出版社 : 講談社
発売日 : 2011年4月13日(初版)、2017年6月1日(四刷)
ISBN-10 : 4062596598 / ISBN-13 : 978-4062596596
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