心臓血管センター
弁膜症/胸部大動脈瘤/心不全
弁膜症手術
弁置換術
弁膜症の標準的な術式が悪くなった弁を人工弁に取り替える手術です。動物の組織から作られた生体弁と、カーボンなどでできた機械弁があります。両者には以下の様な特徴があります。どちらを使用するかは患者様の状態によります。
生体弁 | 機械弁 | |
---|---|---|
耐久性 | 10-20年 | 数10年~永久的 |
ワーファリン (血栓予防薬) |
不要 | 必要 |
適した患者様 | 70歳以上、出産を控えた女性、出血性疾患を持つ方 | 60歳未満 |
心房細動(Atrial Fibrillation: AF)
右心房・左心房が通常通りに一定の周期で収縮せず、痙攣したような状態となり心室の脈拍がバラバラとなる不整脈です。脈拍が早くなり動悸を感じたり、僧帽弁・三尖弁の弁膜症を悪化させたりします。左心房内、特に左心耳という場所に血栓ができやすくなり脳梗塞や血栓塞栓症の原因となります。
要因
年齢、僧帽弁疾患をはじめとした弁膜症、交感神経バランスの崩れ、甲状腺機能亢進症など
治療
カテーテルアブレーション、外科的アブレーション、左心耳閉鎖
心房細動単独で手術になることは少なく、基本的には投薬治療やカテーテルアブレーションが主ですが、弁膜症を始めとした心臓手術を行う際に同時に外科的アブレーションや左心耳閉鎖を行う場合があります。
心房細動に対する手術
心房細動は弁膜症に合併する場合と単独で起こる場合があります。いずれの場合も動悸、心不全を助長するばかりでなく脳梗塞の原因となるため、その対策として心房細動の外科的アブレーション(メイズ手術)および左心耳閉鎖術を行います。メイズ手術により一過性心房細動の約95%の患者様、慢性心房細動の約80-90%が術後に洞調律で安定します。また孤立性の心房細動に対しては脳梗塞予防のため、内視鏡を使用した低侵襲の左心耳切除を行っています。
胸部大動脈瘤手術
大動脈瘤は高齢化にともない増加する疾患です。大きくなると破裂のリスクがあるので症状がなくても予防的に手術が必要です。
大動脈瘤の手術には人工血管で置換する方法と、ステントグラフトを用いて動脈瘤に蓋をして破裂を予防する方法があります。
当院では胸部大動脈瘤に対していずれの手術も行っています。またステントグラフトでは、開胸せず人工心肺を使用しない術式を選択するなど、高齢者でも安心して行える手術を確立しています。